WINDを目指して
その街についての噂はかなり前からあったように思う。
洞窟の中にあるとか
空に浮かんでいるとか
地下にある都市だとか
異空間にあるのだとか
私は、その時はまだ冒険者ではなかった。
酒場でアルバイトをしながら旅に出る資金を稼いでいる頃・・・。
ここで働いていれば、この世界の様々な情報を仕入れることに事欠かなかった。
久しぶりに旅から帰った姉に、そのことを聞いてみた。
どうやら姉もWINDについては噂しか知らないらしい。
ただ、その街は必ず見つけだすと言っていた。
数日後、姉はWINDを探す旅に出た。
町での情報収集で何かヒントをつかんだらしい。
荷物をまとめる姉にかける言葉はなかった。
きっとWINDを発見して帰ってくるだろう。
今、姉のRYUKOは冒険者を引退して町での暮らしを楽しんでいる。
ぱっと見は、どこにでもいそうな町のお姉さん。
そんな姉だが、国王からグレートレディーの称号をもらい、
弓の腕は誰にも負けないほどに鍛えられている。
姉にあこがれたのはいつからだったろう。
冒険者として旅立つとき、私は迷わず姉の名前を受け継いだ。
武器も弓を選んでいた。
冒険者として姉を抜かすことは出来るだろうか。
いや、まずは追いかけてみよう。
私はギルドホールで魔法の特訓をしている。
姉はWINDを発見して帰ってきた。
街についての情報をしぶる姉から、何とかだいたいの位置までは聞くことが出来た。
そして、WINDにはかなりの魔法の力を身につけていなければ入ることもできないと言うことも。
姉は、7th魔法であるゲートトラベルをかなりの確率で出すことが出来た。
私もそのくらいの魔法力を身につけてからWINDを探してみよう。
姉の背中に追いつく日を目指して、Ryukoは今日も腕を磨く。