ここを目指して旅立った日のことは今でもはっきりと思い出せる。
冒険の始まりの時。
錆びた武器を握り締め、
何度も失敗しながら作った皮鎧を着け、故郷を後にしたのだ。
半ば自分の部屋と化した宿の一室。
ベッドに横たわり、天上を見つめながら考える。
目指したものは、なんだったろう…
数ヶ月ぶりに鎧を装備する。
久しぶりに着る鎧は、その重さが心地よい。
愛用の弓を持つ。
荷物をまとめ、宿をでる。
長く滞在したこの街と、ついに別れるときがきた。
果てしなく続くモンスターとの死闘。
そしてその中で感じた自分の限界。
冒険心は満たされたか。
それとも安息が恋しくなったか。
Freeportを後にして、道を進む。
HighPassの谷を抜け、Karana平原へと出る。
地平線が見える程の広大な平原を進む。
平原を吹き抜ける風がやさしく髪をなでる。
懐かしいにおいがした。
やがて見えてくる高い山々。
山間の細い道をぬけ、QeynosHillへ入る。
そしてSurefall Gladeが見えてきた。
懐かしき生まれ故郷。
「ただいま」
いつか、戦いの日々が懐かしくなった時、再び冒険者の血が騒ぎ出すかもしれない。
しかし、しばらくは穏やかな日々に身を委ねてみようと思う。
深き森の村で思い出と共に。
